ハタダ アヤ   Aya HATADA
  畑田 彩
   所属   京都外国語大学  共通教育機構
   職種   教授
研究期間 2003/04~
研究課題 多雪地におけるギフチョウの生態
実施形態 国内共同研究
キーワード アゲハチョウ科 個体群動態 カンアオイ属 雪 植生被度
研究制度 (選択しない)
概要 ギフチョウは環境省RDBで絶滅危惧Ⅱ類とされ、各地で保護活動が盛んである。本種の生息と幼虫の食草であるカンアオイ類の生育には上層植生による被陰の少ない林床が好適であるとされているが、定量的なデータはない。そこで、演者らはコシノカンアオイ群落でのトランセクト調査を行い、高木層・低木層被度、食草密度と産卵率の関係を明らかにするとともに、食草密度の異なる3つの固定調査区で幼虫の生存率を調査した。  産卵は食草密度が高く林縁から近い場所で有意に多く見られた。また、産卵率は低木層被度の小さい場所で高い傾向が見られたのに対し、高木層被度とは有意な関係は見られなかった。さらに、林縁から遠く離れた場所では、食草の密度にかかわらず産卵はほとんど見られなかった。これは低木の密な藪が物理的障害となってギフチョウが食草に到達するのを妨害しているためだと推察された。  約四分の一の確率で旧葉産卵が確認され、幼虫も新葉と旧葉をあまり区別せずにえさとして利用していた。また固定調査区間で幼虫の生存率に有意差はなく、ギフチョウ幼虫の生息密度は主に産卵率によって決まっていることが示唆された。