コンドウ ユミコ
Yumiko KONDO
近藤 優美子 所属 京都外国語大学 ランゲージセンター 職種 准教授 |
|
言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2022/02 |
形態種別 | 論文 |
査読 | 査読あり |
標題 | 補助動詞“しまう”の用法と意味的構造 |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 阪大日本語研究 |
掲載区分 | 国内 |
出版社・発行元 | 大阪大学大学院文学研究科日本語学講座 |
巻・号・頁 | 34,47-64頁 |
概要 | 本稿は,補助動詞“しまう”(以下“テシマウ”と記す)に「終結点明示用法」と「評価表示用法」という2つの用法を仮定し,それらはそれぞれ異なる意味的構造を有するという仮説を立て,その妥当性を検証した。
「終結点明示用法」は,前接動詞を主要部とする動詞句の表す動きが,終結点に達することを明示する。この定義から,「動作主体が,前接動詞を主要部とする動詞句の表す動きを,終える」という意味的構造を持つと考えられる。「評価表示用法」は,テ節が表す事態が望ましくない,または実現可能性が低いという話者の評価を表す。この定義から,「テ節が表す事態が望ましくない,または実現可能性が低い」という意味的構造を持つと考えられる。 このように仮定することで,補助動詞“しまう”が尊敬形式“お~になる”・使役の助動詞“(さ)せる”・授受の補助動詞“もらう”のそれぞれと共起する際に,その接続順がテシマウの用法によって異なることや,可能文においてテシマウに前接する動詞とテシマウのどちらを可能形にするかが用法によって異なることを説明することができることを示した。また,テシマウの2つの用法が異なる意味的構造を持つという仮説は,これまで意味拡張の側面から説明されてきた用法の関係に,新たな説明の観点を提案するものである。 |