概要 | 後古典期は、動乱の時代と認識できるメキシコ中央高原の続古典期やオアハカ・マヤ地域の古典期終末期を経て新たな時代の幕開けとなる。しかし、メソアメリカ地域全体におけるこの時代の社会情勢も決して安定していたわけではない。それは、戦闘具の増加傾向、戦闘行為を示唆するモチーフが先の時代に比べより直接的に頻出すること、および民族誌に記される内容から理解できる。軍事拡張の時代と言えるのだ。一方で、メソアメリカ全体の地域間交流は活発化しただけでなく、この文明圏を超えてアメリカ合衆国南西部そしてパナマやニカラグアとの交易網もより確立していったと考えられる。本章では、このような後古典期の世界を概観している。 |