ナカニシ クミコ   Kumiko NAKANISHI
  中西 久実子
   所属   京都外国語大学  外国語学部 日本語学科
   職種   教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2022/05
形態種別 論文
査読 査読あり
標題 「COILにおける複合的ファシリテータの有効性―
民主文化のための複言語能力・複文化能力を培うCOIL―」
執筆形態 共著
掲載誌名 『ヨーロッパ日本語教育』
掲載区分国外
出版社・発行元 ヨーロッパ日本語教師会 Association of Japanese Language Teachers in Europe e.V
巻・号・頁 25,398-409頁
総ページ数 686
担当区分 最終著者
国際共著 国際共著
著者・共著者 辻井さとみ・中西久実子
概要 本研究は、協働学習におけるファシリテータの役割の重要性をCOIL (collaborative online international learning)の実践に基づいて考察するものである。筆者が2019年に行ったCOIL援用のオンラインによる異文化理解の研究においては、ポルトガル人日本語学習者、日本人協力者双方に有効性が見られた。また、先行研究には見られないほどCOILが長期間にわたって持続していることがわかった。これは、研究過程において、ファシリテーションがうまく機能し、参加者にメリットのある効果が認められたため、COILが長期間にわたって持続したと考えられる。したがって、本研究ではファシリテーションに焦点をあて、協働学習を考察していく。
本稿では、先行研究の問題点を考察し、ファシリテータの定義を明確にすることにより、ファシリテータの役割を追究するものである。本稿では、1.教師と教師(コ・ファシリテーション)、2.教師と日本人協力者、3.教師と学習者、4.日本人協力者と学習者、5.学習者と学習者、の5項目について考察することにより、ファシリテータの役割を分析している。先行研究では、多岐にわたるファシリテーションの組み合わせによるグループ内の結束性、生産性の関連に関する研究はなされているが、グループ間の結束性が生産性に影響する研究は管見のかぎり見られない。また、日本人協力者、学習者とも学生だけではなく、職業も多様であり、比較対照の上で、興味深い結果が得られると思われる。
本研究では、上記の1~5のファシリテーションが協働学習に有効であり、日本語学習者の日本語能力を高める効果があること、そして、ファシリテータとなっている教師にも成長や気づきが認められたことを論証した。また、ファシリテーションが有効に働いた場合、学習者、日本人協力者双方において、異文化理解という枠を越え、社会の一員としてどう行動すべきかという認識を通して、一個人の社会言語能力の成長が見られたことについても言及している。