ヨウ ライ   Lei YANG
  楊 蕾
   所属   京都外国語大学  外国語学部 中国語学科
   職種   准教授
発表年月日 2024/09/07
発表テーマ コミュニティ通訳者育成プログラムについて: 京都外国語大学の取り組み
会議名 日本通訳翻訳学会第25回年次大会
主催者 日本通訳翻訳学会
学会区分 全国学会
発表形式 口頭(一般)
単独共同区分 共同
開催期間 2024/09/07~2024/09/08
発表者・共同発表者 佐藤晶子楊蕾
概要 コミュニティ通訳とは、公共サービスの提供場面において、言語の異なる当事者間のコミュニケーションを仲介する通訳であり、医療、教育、行政、司法などの分野で活用されている。『ISO13611:2014 通訳-コミュニティ通訳のためのガイドライン』は、コミュニティ通訳を「公共サービスの利用を目的として、コミュニケーションの場面において、異なる言語の話者間で行われる双方向の通訳」(ISO, 2014, p.2)と定義している。
 コミュニティ通訳と会議通訳の主な相違点は、通訳の方向性と、専門性の違いである。会議通訳は主に一方向の通訳(B言語→A言語)を行うのに対し、コミュニティ通訳は双方向(B言語⇔A言語)の通訳が求められる。また、会議通訳は専門性が高いのに対し、コミュニティ通訳は状況に応じた柔軟な対応が必要とされる。
 本発表では、高等教育機関のカリキュラムにおけるコミュニティ通訳者養成システムの構築を目的とし、京都外国語大学で実施されている取り組みを報告する。具体的には、2022年度から開講されている「コミュニティ通訳特論I」の授業内容や学生アンケート結果の分析、さらに医療、学校教育、異文化理解、行政等の分野で実施する言語運用能力テストについて詳述する(林田, 佐藤, ラムスデン, 楊, 三好, 2024, pp.3-8)。
 同大学は2023年4月公益財団法人京都市国際交流協会と包括協定を結び、実践的な行政通訳に関する授業の提供、同協会が行なっている外国人カウンセリングデイにコミュニティ通訳業務の見習いとして学生がオブザーバーとして参加するなどの活動を進めている(京都外国語大学, 2024a)。さらに同大学は、2024年度入学の全学科学生を対象に「コミュニティ通訳者育成プログラム」を設置した(京都外国語大学, 2024b)。また、2024年度4月より京都外国語大学の2学部全学科教員が賛同し、コミュニティ通訳研究会が立ち上がった。
これらの取り組みを通じて、学生の言語運用能力向上と、実践的なコミュニティ通訳の知識・技能の習得、OJTの充実を目指している。本発表により、高等教育機関における総合的なコミュニティ通訳者育成プログラムの構築に資する知見を会場の皆さんと共有できれば幸いである。