ユイ キクコ   Kikuko YUI
  由井 紀久子
   所属   京都外国語大学  外国語学部 日本語学科
   職種   教授
発表年月日 2025/08/29
発表テーマ 身体知としての日本語の習得と使用
会議名 第28回ヨーロッパ日本語教育シンポジウム&第27回BATJ年次大会
主催者 ヨーロッパ日本語教師会・英国日本語教育学会
学会区分 国際学会
発表形式 ポスター
単独共同区分 単独
国名 イギリス
開催地名 キール大学 チャンセラーズ・ビルディング(英国 スタッフォードシャー州)
開催期間 2025/08/28~2025/08/30
発表者・共同発表者 由井紀久子
概要 外国語を習得する過程は、スポーツの鍛錬や楽器演奏の熟達化に例えられることがある。基礎的練習、地道な繰り返し
による漸進的上達、失敗からの学び、壁を越えできるようになったという上達の喜び等である。スポーツや楽器演奏の技
能は「身体知」として捉えられ、認知科学分野等で研究されている。それでは、第二言語としての日本語(JSL)の技能も
身体知と言うことができるのであろうか。本発表では身体知と JSL の習得・使用を比較し共通性と相違性について論じる。
「身体知」という概念については、「実践知」と同義的に扱う場合(野中郁次郎著作等)や、「非言語知」としてポランニ
ーの「暗黙知」と同義語あるいは上位語として扱う場合、出産や育児に関する身体の知恵等を意味する場合(内田樹・三
砂ちづる著作等)など多義的である。本発表では、「身体知」を記号知識の学習としての「言語知」の対立概念として捉え
るのではなく、諏訪 (2016) の身体知の認知科学的研究における「身体と頭(ことば)を駆使して体得する、身体に根ざし
た知」として考察を行う。
JSL の習得は、宣言的知識を理解して得、手続き的知識(技能)に、そして自動化する過程と見た場合、模倣から始まる
身体知を獲得する過程と冒頭述べたような共通性がある。また言語知識を記号として獲得するだけでなく身体器官を用
いて実際に音声・文字を産出・受容するための技能は言語の重要な側面である。上達のためのコツやポイント等の理解を
言語によって行うことや相手との間合いをはかりながら、また、お辞儀や身振り手振り・表情の体性感覚を確かめながら会
話することも身体知と共通であることが見いだせる。
身体知としての JSL は、日本語習得・使用の研究対象として重要であるだけでなく、装着型同時通訳機や翻訳アプリ・
生成系 AI など、身体からの分離可能で非本人性の高い JSL の考察にも示唆を与えることができるだろう。
researchmap用URL https://www.eaje.eu/ja/symposium/81