フセ マサオ
Masao FUSE
布施 将夫 所属 京都外国語短期大学 キャリア英語科 職種 教授 |
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発表年月日 | 2010/11 |
発表テーマ | アメリカ合衆国における陸軍省参謀部の創設(1903年)-ドイツ軍制の重視からビジネス組織の模倣へ- |
会議名 | 西洋史読書会 第78回大会 |
学会区分 | 全国学会 |
発表形式 | 口頭(一般) |
単独共同区分 | 単独 |
概要 | アメリカ合衆国で参謀部が陸軍省のなかに初めて設立されたのは、20世紀初頭の軍制改革がほぼ完成し、「参謀部法」が制定された1903年のことであった。エリヒュー・ルート陸軍長官が主導した当時の軍制改革で、集大成として陸軍省参謀部が創設された経緯については、古くから研究されてきた。これらの先行研究で必ず指摘されることは2つある。E・ルートら改革派は、当初、参謀本部と陸軍省が同列の関係にあったドイツ陸軍組織(軍制)の「均衡型の体系」(S・P・ハンチントン評)をモデルとしていたこと。しかし、アメリカで生まれた参謀部は陸軍省内に取り込まれ、アメリカ陸軍組織は結局「垂直型の体系」(ハンチントン評)になったこと。以上の2点である。軍制改革の過程でモデルが変わった理由については長く注目されてこなかったが、近年の研究では、それに関する仮説を提示したものも現われた。ある先駆的な研究は、改革派が、ドイツなどヨーロッパ各国の軍制や、アメリカの中央集権的で能率的な「ビジネスの経営構造」を状況に応じて模倣したと指摘している。改革モデルの転換の現実的な可能性が、こうした研究から推測できる。そこで本報告では、さまざまな史資料に残された当時の改革派の言説を具体的に紹介、分析することで、前述の仮説について検討してみた。あわせて、陸軍省参謀部がモデルどおりに能率的になりえたのか、なれなかったとすればその原因は何で、アメリカ社会にどのような影響を及ぼしたのかなども推察した。 |