ラムスデン タカコ   Takako RAMSDEN
  ラムスデン 多夏子
   所属   京都外国語大学  外国語学部 英米語学科
   職種   講師
発表年月日 2019/09/07
発表テーマ 翻訳を外国語教育へ応用するTILT実践:地名の翻訳アクティビティから見る日本人英語学習者のL2産出に関する問題点
会議名 日本通訳翻訳学会第20回年次大会
学会区分 全国学会
発表形式 口頭(一般)
単独共同区分 単独
開催地名 立教大学
概要 日英翻訳に携わる実務翻訳者が行う基本的な翻訳プロセスの中に、日本の地名の翻訳がある。「東京→Tokyo」「大阪→Osaka」のようにヘボン式ローマ字変換のみを行うもの、「清水寺→Kiyomizu Temple」「富士山→Mt. Fuji」のようにローマ字変換と英単語を組み合わせるものが代表的な翻訳例で、一見単純な作業のように思えるが、実際の翻訳となると多くの例外が出現し、どのように訳出するかは翻訳者自身の(または翻訳者と翻訳依頼者間で同意の上の)判断に委ねられることが多い。
実際、この判断が翻訳者(プロ・アマなどレベルは様々)次第であることから、街なかの案内表示やパンフレットなどには、多くの表記の揺れが存在する。これを整備するために、国土交通省が「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」(国土交通省・観光庁, 2014)を作成しているほか、様々な自治体によってもガイドラインが作成されている。
これらのガイドラインは、地名を翻訳する際の翻訳規範であり、その規範は、翻訳の読み手にいかに効果的に起点テクストの意味が伝えられるかが根底にある。読み手の立場に立つこの姿勢は、L2学習者が言語産出する際にも必要な素養と考えられる。そこで、発表者は、TILT(Translation in Language Teaching)活動の一環として、英語学習者に対し、地名の日英翻訳アクティビティを実施した。
本実践の参加者は、TOEIC550点以上が履修条件の英語専攻の大学生142 人(2クラス)で、4-5人からなる32のグループに分かれ、駅名・施設名・自然地名などを含む京都市の公共交通マップの日英翻訳に約70分取り組んだ。活動前には、自治体の翻訳ガイドラインの簡易版を配布し、これに従いながら作業を行うよう指示した。作業にはグループで1台のコンピュータを使い、エクセルの表に教師があらかじめ入れておいた日本語の地名を英語に翻訳する活動とした。
本アクティビティの翻訳結果と活動の様子から、ヘボン式ローマ字の認識不足、起点テクスト理解への努力の欠如、機械翻訳(Google翻訳など)の軽率な使い方など、日本人英語学習者がL2産出する際の様々な問題が観察された。また、実践後に行ったアンケート(n=115)からは、学習者の様々な気づきから、翻訳の外国語教育への応用の可能性が見られた。