Kosuke KUNISHI
   Department   Kyoto University of Foreign Studies  Department of Italian Studies, Faculty of Foreign Studies
   Position   Associate Professor
Date 2011/10
Presentation Theme ベネデット・クローチェの美学思想における「倫理」の位置づけについて
Conference イタリア学会大会
Promoters イタリア学会
Conference Type Domestic
Presentation Type Speech (General)
Contribution Type Individual
Venue 同志社大学
Publisher and common publisher 國司航佑
Details 芸術は、他の精神活動(経済、倫理、思想)から独立して存在している。≪芸術の自律≫とでも呼ぶべきこのテーゼは、『表現の学および一般言語学としての美学に関する基礎研究』の発表(1900)以降、クローチェが終生守り続けた持論であった。ところが、彼の晩年の著作のうちには、特に芸術と倫理の関係について、一見≪芸術の自律≫の原則と相容れないかのような発言が頻繁に見られる。
クローチェのこうした態度は、今日に至るまで多くの研究者の議論の的となっている。彼らの多くは、クローチェ美学を初期と後期とに区別し、前者が芸術と倫理の関係を否定する単純な図式で説明できるものだったのに対し、後者は芸術と倫理の関係を複雑かつ難解に―あるいは矛盾を孕みながら―論じるものであるとした。必然的に、問題の所在とその解決の糸口は、後期クローチェの言説のうちに求められてきた。
しかしながら、初期クローチェの著作に関しても、諸テキストを注意深く検討した場合、≪芸術の自律≫のテーゼが提示される際に様々な形での但し書きが付加されていることに気付く。こうした≪但し書き≫の存在は、クローチェが初期段階から芸術と倫理との間に一部肯定的な関係を認めていたことを示す。そして、これを出発点に据え、かつ晩年のクローチェの理論をその延長線上に捉えるならば、初期と後期との間に、ある種の連続性を見出すことが可能になるのである。