カバタ シゲル   Shigeru KABATA
  嘉幡 茂
   所属   京都外国語大学  国際言語平和研究所
   職種   嘱託研究員
発表年月日 2019/12/01
発表テーマ なぜピラミッドは倒壊しないのか:観念の変容による技術革新の誕生
会議名 古代アメリカ学会・第24回研究大会
主催者 古代アメリカ学会
学会区分 全国学会
発表形式 口頭(一般)
単独共同区分 共同
開催地名 名古屋
発表者・共同発表者 嘉幡茂、フリエタ・M.=ロペス・J.、村上達也
概要 メキシコ中央高原の形成期から古典期社会への変化は、テオティワカンにおける国家の出現を代表例として、社会の階層化、集約農耕の発展、交易網の発達、ピラミッドの巨大化といった特徴に認められる。しかし、同時にパラダイム・シフトが起こったことにも注目する必要がある。ポポカテペトル火山(後70年ごろ)、チチナウツィン火山(後125年ごろ)、シトレ火山(後275年ごろ)の噴火は、大きな社会的混乱を招いた。そして、かつて信じられていた価値体系は見直される必要に迫られた。古代メソアメリカ文明では、世界は三層(天上界・地上界・地下界)から成り立ち、これらに住む神々や精霊や先祖と交信し、彼らからの超自然の力を得ることで、地上界の平和が守られると信じた。この三層を連結する場所が、各地域にランドマークとして存在する山であり、その中でも水源を確保できる山が「水の山(Altépetl)」として信仰の対象となった。この思想は、形成期中期以降、水源のある地点にピラミッド型建造物を建造することで物質化されていった。つまり、ピラミッド型建造物は「水の山」のレプリカであり、各界の神々と交信する舞台として建造された。そして、社会の紐帯を強固にする目的で、「水の山」信仰の強化とその物質化が実践されていった。しかし、古代人は、神々は水や風や雨といった自然現象のみではなく、噴火に象徴される火にも宿ることを理解した。地上界に壊滅的な破壊をもたらすことを知り畏れた。これが価値体系の刷新に繋がる。人々は、神々や先祖とより密接に交信し、より強力な超自然の力を獲得するため、ピラミッド型建造物をより大きく高く建造し始めた。ピラミッドは、古代の摩天楼である。この建造には、当時の最新テクノロジーが採用されていたと考える。建築資材の品質改良や耐震性に優れた内部構造の開発(技術革新)が必要不可欠であったに違いない。本発表では、これについて「トラランカレカ考古学プロジェクト(2012年~現在)」から得られたデータを基に議論する。