コウノ ヒロミ   Hiromi KONO
  河野 弘美
   所属   京都外国語短期大学  キャリア英語科
   職種   准教授
発表年月日 2017/11/11
発表テーマ Beau Brummell: This Charming Man(2006)に みる「ダンディ ズム」の階級コ ード転換
会議名 第23回映画英語教育学会全国大会
主催者 映画英語教育学会
学会区分 全国学会
発表形式 口頭(一般)
単独共同区分 単独
開催地名 小樽商科大学
発表者・共同発表者 河野 弘美
概要 19 世紀英国社会が生み出した「ダンディズム」は、産業革命がもたらした大量生産大量消費 の経済活動が最も盛んな時代に、あえてその潮流に逆行し個性を磨きに磨いた精神的優越性を 意味するものとして理解されている。「ダンディズム」の精神的優越性は服飾に象徴されるが、 個人の目指す見た目の優雅さと美しさを完成させるために、個人的な精神と肉体の鍛錬により 作られるため、「ダンディズムとは何か?」と問われたとき明白な定義を出すことが難しいの である。つまり、「ダンディズム」の定義は「ダンディズム」を提唱している人の数だけ存在 している。このように、無数に展開する「ダンディズム」ではあるが、「ダンディズム」の定 義を解く鍵が 1 つある。それは「ダンディズム」を世に広め一躍有名人となった立役者ジョー ジ・ブランメル(1778-1840)、通称ボー・ブランメルである。ブランメルは独自の美眼で自 己を演出し、時代のモードを作り出した結果、その後の英国ファッション業界に多大なる影響 をもたらした。当時の貴族がこぞってブランメルに憧れ、社交場に招待し、仲間として扱った 結果、ブランメルは精神的な貴族へと階級を超えていったのである。つまり「ダンディズム」 は、単なる時勢に合った美しい服飾のモードではなく、服装というコードで階級を定義してき た英国社会に一石を投じ、階級を飛び越える立身出世術の役割を担っているのである。「身分 以外の価値から出発して、新たな精神的貴族階級の再建を企てんとする」(生田:2013 年、181 頁)のが「ダンディズム」の定義であることがいえる。19 世紀後半には唯美主義へと発展して く「ダンディズム」は 20 世紀から 21 世紀にかけても『007』シリーズをはじめとする様々な表 象を通して引き継がれている。階級コードを壊すパンクな「ダンディズム」はどのように誕生 し、その後どのように発展していったのかを、ジョージ・ブランメルの半生を扱った TV ドラ マ『Beau Brummell: This Charming Men』(2006 年)を使い読み取り、現代版の「ダンディズム」 の定義にどのようにつながっていったのかを分析する事を本発表の目的とする。