ナカニシ クミコ
Kumiko NAKANISHI
中西 久実子 所属 京都外国語大学 外国語学部 日本語学科 職種 教授 |
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発表年月日 | 2022/08/25 |
発表テーマ | Exchange native teaching assistant system in which European learners of Japanese and native speakers of Japanese participate and its effects :Utilization of teaching assistant system in Spanish universities |
会議名 | The 25th AJE Leiden Symposium 2022. |
主催者 | ヨーロッパ日本語教師会 |
学会区分 | 国際学会 |
発表形式 | 口頭(一般) |
単独共同区分 | 共同 |
開催地名 | Leiden, Holland |
開催期間 | 2022/08/25~2022/08/27 |
概要 | 本研究の目的は、交換ネイティブTA制度をスペインと日本の大学の協働で立ち上げ,その参加者に「社会人基礎力(経済産業省(2006))」や「汎用的スキル(濵本宗我・森田裕介(2021:152))」の向上などの効果があったことを示すことである。
交換ネイティブTAとは,交換留学生がその留学先の大学で,自分の母語を外国語として教える授業の担当教員の補助をするTAのことである。たとえば,スペインの日本語学習者は,日本に留学している間に外国語としてのスペイン語の授業のTAの役割を果たす。一方,日本人大学生は,スペインに留学している間にTAの役割を果たす。 交換ネイティブTAはその母語で活動するが,必要に応じて,留学先の言語で活動する。これにより,スペインに留学している日本人学生にも外国語(スペイン語など)運用のメリットが生じる。一方,欧州から日本に留学する日本語学習者にもメリットがある。彼らは留学中は日本語学習のカリキュラムに束縛されることが多い。そのため,留学中にネイティブと日常的に交流できる機会が少ないという問題点がある。本研究のTA活動は,この問題点を解決できる。 本発表では,交換ネイティブTA制度の立ち上げの準備として日本人学生と日本語学習者との接触場面のディスカッションの活動に焦点を当てる。この活動の参加者に実施したアンケート調査・インタビュー調査を分析した結果,参加者の意識に変化が認められた。 具体的には,日本語教師をめざしているわけではない日本人学生でも,学習者との接触場面の活動に参加することによって,「社会人基礎力(経済産業省(2006))」や「汎用的スキル(濵本宗我・森田裕介(2021:152))」を向上させることができ,日本語教育を進路の1つとして考えられるようになった。また,スペイン人日本語学習者もTAとしてスペイン語学習者と交流することによって,青木ひろみ(2011:107)で指摘されているのと同様に,「話す自信を与えてくれた」、「もっと勉強したいという気持ちにしてくれた」などの効果が確認できた。 この制度を立ち上げ,活用することによって,日本語教師を進路の選択肢に入れたいという学生のすそ野を広げる効果がある。これまでは,一部の学生しか日本語教師に興味を持たなかったが,この制度によって,海外に留学する日本人学生に広く日本語教師という職業を知ってもらう意義がある。 |